銀行融資の申込み方法
銀行融資の申込方法
「銀行から融資を受けたいけど申込みってどうやればいいの?」
初めて銀行からの借り入れを検討する際に、多くの方がこのような疑問が浮かぶのではないでしょうか。
金融機関にて融資の窓口や審査業務を実際に行っていたカーズが、銀行借入の申込はどのようにすればいいのか、わかりやすく解説します。
この記事を読めば銀行から融資を受けるための流れが理解できます!
そもそも融資とは?
融資とは、金融機関が申込者の業績、返済能力、資金の使い道などを審査し、審査をクリアした方にお金を貸し付けるものです。
融資は「保証協会付融資」と「プロパー融資」という2種類に大きく分類されます。
- 保証協会付融資
- 信用保証協会という機関が、銀行に代わって貸し倒れ(融資したお金が回収できなくなること)のリスクを負担する制度です。
銀行にとっては、万が一取引先が返済困難な状況になったの場合に保証協会が代わりに返済してくれるため非常に融資を実行しやすくなります。
つまり、審査のハードルが下がり融資を受けやすいということです。
その代わり、融資を受ける際には保証料(保険料のようなもの)を保証協会に対して支払う必要があります。
- プロパー融資
- 銀行が保証協会に保証を依頼することなく、融資を行うという形態です。
貸し倒れのリスクは全て銀行側が負担するため、審査のハードルはかなり上がります。
そのため、規模の大きい会社や業績がとても好調な会社でなければ、一見でのプロパー融資は基本的に困難です。
上記のような特徴があるため、初めて融資を申し込む場合は基本的には「保証協会付融資」一択にとなるケースが多いです。
どんな金融機関を選べばいいの?
融資を受けるに当たって、どの金融機関と付き合っていくべきなのかは非常に悩ましい部分ではないでしょうか。
3つほど選び方のポイントを挙げてみますので、ぜひ参考にしてみてください。
①普段から利用したいる金融機関に相談してみる
普段から利用しているところであれば、新たに口座を作成したりする手間もありません。
また、取引の履歴も金融機関側で確認できるので、比較的融資の話もスムーズにいくケースが多いです。
注意したいのは、いきなり支店に行って融資の相談をすべきではないという点です。
銀行員は多忙なため、突然来店されても対応ができないことも多いからです。
事前に電話で融資を受けたい旨を相談し、アポイントを取得することをおすすめします。
②地域密着型の金融機関へ相談する
普段利用しているのが大手金融機関の場合、融資の相談をしても相手にしてくれないという可能性も十分にございます。
事業の規模が小さいうちは地方銀行や信用金庫などの地域密着型の金融機関の方が親身になって対応してくれますので、いくつか近くの支店をピックアップしてみましょう。
③税理士や取引先から紹介してもらう
紹介してもらえるツテがある場合、個人的に一番おすすめなのがこの方法です。
付き合いのある税理士や取引先からの紹介を受けることができれば、その後の話はスムーズにいくことが多いです。
なぜなら、すでに取引のある先からの紹介であれば、金融機関側も適当な対応をすることはできないからです。
私自身も、難しい案件でも「〇〇事務所からの紹介案件だから」という理由で、何とか審査を通したというケースを何度も見てきました。
ぜひ一度、税理士や取引に相談してみることをおすすめします。
具体的な融資の申込方法
相談する金融機関と担当者が決定すれば、次は実際に申込をどのように進めていくかです。
融資を受けるまでには大きく「事前審査」と「本申込み」というステップがあり、事前審査をクリアすれば正式に申込みをして融資実行という流れになります。
事前審査を受けるまでの流れは大まかに下記のようになります。
①必要金額や融資実行日の目安を決定
②金融機関の担当者に①の内容を伝え、必要な資料の指示を仰ぐ
③担当者と面談、資料の提出
④金融機関と保証協会にて事前の審査
融資を受けたいという意向を伝えれば、担当者が必要資料を案内してくれますのでご安心ください。
ただ、担当者の動きが遅いようであれば、後回しにされている可能性もあるのでこまめに連絡は取っておいた方が無難です。
参考までにまず間違いなく提出を求められるものを下記に記載します。
融資の内容によって求められる資料は異なりますが、最低限これらの資料は事前に準備しておきましょう。
【提出資料】
・直近3期分の決算書
・直近の業績がわかる試算表
融資の実行まで
無事に事前の審査をクリアすれば、次は本申込みです。
ここでようやく申込書類を記入し、融資の実行に必要な資料の提出が完了します。
参考までに、本申込みにあたって最低限追加で必要となる資料と、資料の取得方法を簡単にまとめておきますのでご確認ください。
【必要書類】
・印鑑証明書(法人の場合は法人と代表者個人のもの両方)
・履歴事項全部証明書(法人の場合)
・納税証明書
法人の印鑑証明と履歴事項全部証明書については、管轄の法務局にて取得する方法が一般的です。
印鑑証明書取得の際には印鑑カードが必要ですので、お忘れないようにお気をつけください。
納税証明書は、管轄の税務署にて発行できます。
申込書は少し内容がややこしいですが、書き方については必要に応じて担当者が案内してくれるケースが多いので心配する必要はありません。
必要書類を渡して、申込書への記入が完了すれば、あとは担当者が保証協会への書類提出まで行ってくれます。
ほとんどの場合はこのまま保証協会から最終承認がおりるのですが、場合によっては追加の質問事項や追加資料の提出を求められることもあるので注意が必要です。
最終の承認がおりれば融資の実行まであともう一歩です。
金融機関が作成した、融資の条件などが記載された契約書への記入を完了させ、実行を待ちましょう。
契約書には大まかに以下のような内容を記載します。
・融資実行日
・申込人の氏名、住所
・保証人の有無
・融資金額
・金利
・毎月の返済日
・返済期間
融資に必要な費用
融資を受ける際に必要となる費用がいくつかありますので、事前にしっかりと把握しておきましょう。
主に以下の3つです。
①利息
②保証協会への保証料
③印紙代
ひとつひとつ内容を確認していきます。
①利息
住宅ローンなどと同様に、融資を受ける際には金融機関に対して利息を支払う必要があります。
保証協会付き融資の場合、概ね1%〜1.5%程度が一般的で、毎月の返済額に利息が上乗せされた額が実際に口座から引き落としされます。
もちろん、業績や財務内容が良好な場合はもっと低い金利での融資も可能ですので、担当者へ交渉してみる価値は十分にあります。
②保証協会への保証料
これは冒頭でも触れたように、銀行が貸し倒れのリスクを保証協会に負担してもらうための保険料のようなものです。
保証料は保証協会の審査結果に応じて、融資金額と返済期間をもとに金額が決定され、顧客が負担することとなります。
利息とは違って原則全額前払いとなり、融資金額から保証料を差し引いた金額が口座に入金されます。
それなりに大きな金額が差し引かれることになりますので、融資金額が全額入金される訳ではないという点は頭に入れておきましょう。
また、保証料は保証協会が決定するものですので、金額交渉の余地は基本的にはありません。
③印紙代
融資を受ける際の契約書には印紙という切手のようなものを添付しなければなりません。
これは印紙税という税金の一種で、添付した印紙を印鑑などで割印をすることで納税が完了するというものです。
融資の金額によって必要な印紙代は異なりますが、そこまで大きな金額にはなりません。
こちらも保証料と同様に基本的には融資金額から差し引かれますが、手元に余っている印紙がある場合はそれを使用することも可能です。
例:100万円超〜500万円以下:2,000円、500万円超〜1,000万円以下:10,000円 等
まとめ
銀行融資を受けるまでのステップを改めてまとめると、以下のようになります。
①相談する銀行を決めて、電話にて面談のアポイントを取得
※ここで面談の際に必要な資料を確認しておきましょう。
②必要資料を準備して担当者と面談
③事前の審査をクリアすれば、本申込みに必要な書類を準備して申込書を作成
④正式な審査結果が出次第、金融機関との契約書を作成
⑤融資実行
このように融資実行までにはかなり多くのステップが存在するため、それなりに多くの時間が必要となります。
特に初めて融資を受ける場合は、口座開設に別途審査が必要になったりして通常よりも長い期間がかる場合も少なくありません。
最短でも1ヶ月はかかることを想定して、しっかりと資金繰りの計画を立てておくことが重要となります。
資金が必要になるかもと感じた段階で、早めに金融機関へ相談してみることをおすすめします。
銀行融資を活用することで、事業拡大のスピードを加速度的に上げていくことも可能です。
借りすぎはもちろん禁物ですが、資金繰りに余裕を持たせることは経営を行うにあたって非常に重要なポイントであることは間違いありません。
申し込み方法が分からず一歩踏み出せないでいる方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください!